駄目だ…完全に寝不足だ。

こんなに朝早くから起きたのはすごく久しぶりだ…。

ああ、視界が回る。
 
 
 
 
 
 
Love Forever



 
 
 
 
昨日の越前の発言。 
 

「明日、弁当作ってきて。」


なんていうもんだから、朝からいつもより一時間早起きして弁当を作った。

普段は母さんが作った冷凍されたロールキャベツとか、叔母が送ってくれた冷凍食品とか色々つめてるけど。

そういうわけにはいかないでしょう!作ってって言われたのに、あたしがつくらなきゃ。

いや、別に食べてもらいたいわけじゃないんだけどね。やー、変に真面目なのよ。



さて。お弁当の中身。

昨日の夜はそれに迷って迷って、なかなか寝ることが出来なかった。

(うーん、あたしって意外と乙女)

洋食か和食かすごく悩んだけど、結局和食にすることにした。

やっぱりスポーツ選手なわけだし、あんまり太らしちゃだめかなと思って、あまり油の使わない和食に決定。

メインはブリの照り焼き。これは昨日の晩の残り物。ちゃんと昨日余分に作って冷凍しておいたもの。

うん、あたしってばやっぱり主婦だね☆

あとは肉じゃがに、ほうれん草のおひたし。枝豆を塩湯でして何個か入れて。

まぁその他もろもろと和食。

あたしの二倍はあるであろう弁当箱に詰めて、いざ出発。




「だけど…眠いわ。」




父親が単身赴任のために、父母で都外に移動した。

あたしは学校があったし、そのままこっちに残った。

だから、必然的に一人暮らしになった。一人暮らしはそれなりに楽。だけど大変。

家事は自分でやらなくちゃいけないから、自分の時間が減るわ減るわ。

そしたら必然的に睡眠時間は減るわ減るわ。しかも昨日はなかなか寝れない。


(やばいよ、いつでも寝れる……)


弁当を作って酷使したであろう体にムチを打って、玄関を出る。




「はよ、沙依」



…………そこにいたのは、朝がすごく苦手であろう越前リョーマ。





why?





なんでなんでなんでなんで!!!???





「桃城先輩の後ろに乗っけてもらってるんじゃないの?」


「まー、いつもはね。」


「何で今日はアンタがチャリなのよ!」


「沙依を乗せるためだろ」





why?





「そりゃ弁当作ってもらったわけだし。」


「あたしがちゃんと弁当作ってるかどうかなんて分かんないじゃん!」


「沙依はちゃんと作るよ。まぁ弱音握ってるし。」




それだけですかー!?

あたしの性格とか知ってて言ったんとちゃうんかい!と心の中で突っ込んで。

まぁ、それはさておき。


あの越前が、朝に、お出迎えですか。

朝が大の苦手な越前が、お出迎えですか。


なんかちょっと嬉しい。

ただ一方的にコキを使われるものだと覚悟していた。

あたしに嫌なことばっかりして、越前は楽ばっかりするんだと思っていた。


越前も、いいとこあるんじゃん。



「で、後ろ乗んの?遅いなら置いてくけど」

「わー!!乗ります乗ります!!っていうか弁当受け取ってよ!」



「……クラス一緒だし、別に持っててくれてもいいんじゃない?俺、弁当ぐちゃぐちゃにする自信あるし」



何ですと!?この男は!!

あたしが朝早くに起きて一生懸命作った弁当をぐちゃぐちゃにすると!?

許せん!人が一生懸命作った弁当を!弁当を!



「あたしがもっとく!だから早く行ってよ!朝練遅れるって!」









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