「好きになっちゃった、のこと」

抱きしめられた腕、背中に当たる広い肩、耳にかかる熱い吐息。

あたしをおかしくさせるには十分すぎた。




fall in love -17th-





「ちょ・・・っと待って、離して 、」


の言ってる意味が全然分からなくって、好きながあたしのことを好き?

そんなのあり得ないよ。信じられないよ。

何でこんなに切ない声してるの?何でこんなにぎゅっと抱きしめてるの?



「ごめん、俺本気で好き」



や、だ。どうしていいか分かんない。あたしも好きだけど、だけど・・・こんなの始めてで・・・

なんて言えばいい?どうしたらあたしの気持ち、伝えられる?

そのまま好きって言うの?でも、そんなの恥ずかしすぎて言えない、よ。

どうしよう、体が震える。どうしていいか分かんなくて、泣きそう、だよ。



「はさ、俺のこと嫌い?」



そう言いながらはあたしを振り向かせた。

真正面からの顔、見れない。思わず下を向いてしまう。

くっ、とあたしのあごを持ち上げて、目線を合わさせられる。

どうしていいかも分からず、あたしの瞳は揺れる。

今度は、真正面から抱きしめられた。


「ねえ、・・・」


好き、好き。言わないと、きっとこのまま終わってしまう。

そんなの嫌だ。こんな絶好の機会なんかない。


「・・・き、好きだよ」


の肩に顔をうずめて、思わず泣いてしまった。

は更に強く、あたしのことを抱きしめた。

誰かをこんなに好きになるなんて思わなかった。愛しいと思うなんて思わなかった。

傍にいて欲しいなんて思うなんて、思いもしなかった。




過去に何があったかなんて、知りたくなかったのに、





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