とげが刺さったように ちくりと痛んだあたしの胸 ズタズタに刺されるより もっと痛い fall in love -6th- 「で、しばらくメールしてたの?」 がきょとんとした顔でこっちを向く。歩きながらだと、少し話しにくい。 「ううん、くんが勉強するってパソ切っちゃった」 なんて言ったら、「ばっかじゃないの?」とキツイお言葉。もっとメールしなくちゃ、と怒る。 そりゃぁ、あたしだってしたかったさ!でも無理に引き止めるなんて、絶対に出来ないもん。 今日はとショッピングセンターでお買い物。土曜日で久々に部活も休みだから、ってことで。 このショッピングセンターは最近にできたらしくて、すごく綺麗。来て良かったと思えるところ。 だから結構カップルとかも多くて、少し離れると人の波に流されそうになる。 「ね、あそこのカフェ行かない?」 ここじゃゆっくり話できないし、と。 もう大体のお店は入ったし、服とか靴とか雑貨品で、両手が紙袋でいっぱいの状態。 あたしも賛成だったから、迷わず入った。 そこはちょっとオシャレなカフェで、あたし一人じゃ入れなさそうな感じ。 でも結構家族連れとかもいたりして、意外と馴染み易かった。 店内は外と打って変わって、すごく静か。そんなに人も多くない。ここならよく話せそう。 あたし達は、ショッピングセンターの中が見えるようにつくられたカウンターに座った。 前はガラス張り。行き交う人たちの顔がよく見える。逆にあたし達の顔も見えるんだろうけど。笑 こんなの考えるのはきっとあたしだけ。ったら全然気にしてないんだもん。 「ね、ね、の好きな人ってあたし等のクラスなんだって!もしかしたら望みあるかも!」 なんて言いながら、コーヒーを注文する。 だから、両思いなんだってば!と言いたいところをぐっと我慢。 今あたしが言っちゃえば、のカッコがつかないから、後からあたしがに殴られるに決まってる! 幼馴染としての、暗黙の了解ってヤツ?笑 「そぉなの!?、今回の恋愛は全然話してくれないんだー」 今まで相談受けてたのにおかしいわけだ、と付け足して。 「の好きな人ってだったりして?」とニコニコ笑いながらも言うは恐い。 「あたし等はお互いにそういう対象で見てませんー」 って思いっきり拒否する。だってホントにの笑顔が恐いんだもん!! 「うーそーだーよ!で、はくんのコトどう思ってるのよ?」 いいいいきなり話題を変えすぎですよ、サン! そりゃいい人だし、カッコイイし、優しいし、言うトコなさそうだケド…どうなんだろ? 好きといえば、好きだと思う。悪い印象は全然なかったし。でも、前のドキドキはなんだったんだろ? や、あれは憧れてただけだよね。うん。彼女さんと歩いてても傷付かないと思うし。 「好きだけど、恋愛対象じゃないかなー。多分彼女と歩いててもへ・・・」 “多分彼女と歩いてても平気”と言おうと思ったんだけど、ふとガラス越しに見れば、くんとその彼女。 手つないで、楽しそうに笑っちゃってるんですけど。サッカーしてる時と同じくらい、嬉しそうなんですけど。 何か知んないけど、胸がちくちく痛いんですけど。モヤモヤしてるんですけど。 彼女と歩いてても平気って言ったの誰だよ!全然平気じゃないじゃんか、ばか。 NEXT→