誰かに聞かれても 言わなかった

言えなかった

だって あたしの好きな人は





手の届かない 大きな存在の人










fall in love -Prologue-









出会いは至って普通。どこにでもあるような「部活関係」の知り合い。

あたしが直接関係してるわけじゃないんだケド、あたしの幼馴染のが。

はサッカー部で、試合のたびにあたしを呼ぶ。幼馴染だろ?と。

1年、2年のときは、呼んだことなかったのに、3年になって急に。

あたしもサッカーは嫌いじゃないし、幼馴染として試合くらいは見てあげようと思って。








その時に、あの人と出会った。出会ってしまった。










あの時出会わなかったら、あたしは辛い恋をしなくて済んだのかも知れない。

でも、あたしの生活を色鮮やかにしてくれたのも、あの人のおかげ。




あの人、とは隣の学校、星城中のくん。




運命と言えるような出会いではなかった。偶然に偶然が重なって・・・という感じ。

あたしの学校、東堂中はスポーツが盛んで、サッカーもまぁまぁ強い。

でも同じ公立でも、星城中は比べ物にならないくらい強い。

星城中は元々サッカー部だけが有名で、県では毎年優勝するくらいで。


去年なんかは全国大会で5位の成績を残すくらい。


もちろん去年のスタメンはほとんど3年生で、でも1人だけ2年生が出てて、それがくん。(談)


すごいと思うくらいだった、最初は。これと言って、尊敬以外、何の感情も持ってなかった。

でもプレーを見て、あの笑顔を見て、話してしまったら最後。あたしは見事、くんを好きになってしまった。







星城中の同学年にという、すごくサッカーの上手い人がいるのはから聞いてた。

けれど、実際プレーを見たこともなかった。

特に見たいとも思わなかったし、正直どうでも良かった。

でも、いざ試合が始まると、なんかそっちのけで、あたしはくんのプレーに見入ってた。(ごめん、!)

ボールを持っているときの真剣さ、チームが得点決めたときの笑顔。








何もかもが、あたしを惹きつけてた。






くんのプレーと笑顔があたしの脳裏に焼きついて、離れなかった。




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