分かってくれるって思った。 理解してくれると思ったから、 言ったのに。 Because of tears -9話- 「あのことは・・・忘れてくれ。」 あたし、邪魔だった? 言っちゃいけないことだった? 「そう・・・ですか」 泣きそうになるのを押さえた。 これ以上、困らせちゃいけないと思ったから。 こんなことになるんだったら、言わなかったら良かった。 後悔だけが頭によぎる。 「俺、付き合ってない。」 そう言って欲しかったのかも知れない。 どこか心の片隅で、そう願ってたのかもしれない。 考えるほど涙が溢れる。 静かに頬を温かい涙が伝う。 もう忘れようと、何回も思った。 でも信じたいと思った。 でも結局は自分が傷ついただけ。 下を向いたまま拳を握る。 頬を伝った涙が、拳に落ちる。 「・・・キスをしたのは、事実。」 もうそれ以上言わないで欲しいということと きちんと真実を知りたいという気持ちが入り混じって 自分でもよく分からない。 床に濃いシミができる。 気付かれないように握った拳で隠す。 それでも先輩は気付いたみたいで あたしの手を握って、床から離す。 「この涙は俺のため?」 返事はしない。 頷きもしない。 返事をしたくない。 「ねぇ、。」 「・・・・・・・・・。」 「俺は、付き合ってない。」 NEXT→