・・・。あんた、病気だね。」

「だって格好いいじゃんか!くん」


あたしは、どうやら病気らしい。






好きという病気 *前編







「はよ!、おまけに」

「はいはい、おまけにおはようはあたしの男友達で、お互いに馬鹿にしあっている存在。

いなくなったら寂しいんだけどね。でも腐れ縁というか何と言うか。いつも傍にいるやつ。


「おはよ、はまた病気にかかっててさぁ」

「また!?はー・・・もういい加減にしろよな?」


そう、あたしは病気にかかっているらしく、この二人が名づけたのは「病」というもの。

ただ人よりも好きっていう気持ちが大きくて、何にもできないことが多くて。

気がつけばいつも眺めているだけっていうか(下手したらストーカーだな

少し素っ気無い態度も、少しはねたサラサラの髪の毛も、綺麗な顔立ちも、だらだらと歩く姿も。

すごく好きだから、やっぱり些細なことも気になって。恋する乙女って、これが普通じゃないの?




「のどこが好きなんだ?」




・・・とまぁ、こういう愚問をする輩がいるのが普通なんだけど。

あたしにはこの質問が毎回のように許せないと言うか。「好き」には理由がいるの?みたいな。

そりゃあげだしたらキリがないけれど、それでもその人の全てが好きとか雰囲気が好きとか。関係ないじゃない。

それをこうやっていちいち人が思いふけっている時に言うのは、どうかと思うんだけど。?



「、聞いてんのか?」



ったく、どいつもこいつも。一体何よ。

あたしがくんのことが好きなのがそんなに気に入らないわけ?

恋したことのない女が、恋愛をするのはそんなにおかしなことなんだ?ふざけないでよ。

あたしは、本気なのに!



「うるさい。好きって言ったら好きなの!」



とまぁ、思いっきり叫んでしまったわけで。

話し声や笑い声でうるさかった教室も、今は嘘のように静まり返っている。

何で・・・何でこうなるの?みんなあたしの方を、驚いた目で見ているじゃない。

ああ、もうこれも全部のせいだ。ああ、もう・・・・・・くんまで見ているじゃない。



「って好きなやついるんだ?」

「今の会話、聞いてたら分かるでしょ?」


くんにこんなこと聞かれるなんて。最悪だ。

あたしが好きなのは、くんなのに、何で誤解されなきゃいけないのよ。の馬鹿!



「ふーん」



という何ともまあ意味深な態度で去ったくん。

くんが教室を出て行った後、また教室は何事もなかったかのようにざわざわしだした。

くんの後を追って、教室を出て行った。今更追ってどうするってのよ。

あたしはどんな表情をして、教室にいたのだろうか。









「ねぇ。」

「なによ。あたしの機嫌の悪さが最高なのは、が一番知ってるでしょ?」

「うんうん、でね。くんに告白すれば?」


SHRも終わり、ばたばたと教室を出て行ったクラスメイト。

あたしとはいつもどおり、帰る用意はせずに教室でだらだらしていた。

そんなところにの爆弾発言。正常でいる、なんて到底無理なことだった。


「は!?何であたしがわざわざ」


そう言ってしまうのは仕方のないこと。そう、くんには彼女がいる。

あたしとは正反対で、おとなしくて可愛らしくて、守ってあげたくなるような子。

そんな彼女のいる人に今更告白するなんて。馬鹿にも限度があるというものだ。

しかも、今日誤解をされたばかりなのだ。こんな状況のまま、あたしに何ができると言うのだろうか。




「まあまあ落ち着いて。でね、今からくんがここに来るんだけど」

「何でよ!?」

「あたしがに頼んどいたから。」



お人よしと言うかお節介というか。

あたしは何も言えないまま、立ち尽くしていた。



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