最初の印象は「背が低い」というものでしかなかった。

だからかな、先輩なんていう気がしなくて、女として見ていたのは。







勝気な俺、でも弱気








何となく入った図書委員。面白くなくて、ついつい寝てしまう。

最初の委員会もそうだった。眠くてやってられなくて、机にうつ伏せていたら先輩に声をかけられた。

先輩は3年、俺は2年。たまたま席が隣になって、起こしてもらったんだっけ。

てっきり同学年かと思って「ども」と適当に言ったのを覚えている。

何日か後に、体育をしている3年生がいたから、授業もちょうど暇だったし見てたらその女の子がいたんだ。

俺はとにかくびっくりして、唖然としてしまった。


そして次の委員会の時に「あんたって3年だったんだ。俺は2年の」と自己紹介をした。

先輩は笑いながら「、よろしくね」と答えてくれた。

きっとその時から先輩に惹かれていた。

俺は少し顔を赤らめながら「先輩ね。よろしく」とぶっきらぼうに言った。






「くん、起きて」

ぽんぽん、と柔らかい手が俺の肩に触れる。どうやらまた委員会で寝てしまったらしい。

柔らかい手の主は、やはりともいうべきか。先輩だった。

困った様子で笑う先輩は可愛い。いつもそう思う。笑顔がキラキラしていて、いつも俺の心を奪う。

「だって、眠いっすよ。」

ぶす、っとしながら答える俺に、先輩は「もう、そんなこと言わないの!」と苦笑いをしてみせた。

俺が話を聞かないからだろうが、委員長は俺が話してても全然気にしてない様子だった。

そういえばもうすぐ関東大会だね、と思い出したように話し出す先輩。



あの最初の委員会以降、少しずつしゃべるようになった俺と先輩。

今では結構仲良くなって、俺は先輩と。先輩はくん、と呼ぶようになった。

会話の内容は部活のことが多い。そのたびに先輩は「頑張ってね」と俺に言う。

いつも先輩の「頑張って」で勇気付けられる。試合のときはいつも、先輩を思い出す。応援してくれてんだ、って。

それでも・・・本当は先輩に応援に来て欲しい。そしたらもっと頑張れるような気がする。




「先輩。次の試合、応援しに来て下さい」


「次の試合って、今度の日曜だよね?」





うーん、どうしよっかな、と困った顔をしながらスケジュール帳をペラペラめくる。

予定表にはぎっしりと書かれていて、先輩は忙しいんだと実感してしまった。

それなのに、試合を見に来いと要求をしてしまった自分に、少し後悔した。




「んー・・・分かった!応援しに行くよ。のプレーも見てみたかったし」




先輩・・・。どうやら俺は、先輩というライバルを忘れていたらしい。

先輩は先輩とも仲が良くて、明らかに恋愛感情を抱いている。

・・・先輩はどうだか知らないけど。

応援に来てもらうのは嬉しいけれど、試合前に先輩と話されでもしたら、試合どころじゃなくなる。



・・・絶対やだし



思い立ったらすぐ行動の俺。

先輩のスケジュール帳を勝手に開いて、すらすらと文字を書いていった。

ちょっと、くん!と先輩に言われるけど、関係ないし。


先輩は俺の文字を見た後、急に顔を赤くした。





「・・・分かったよ」





小さく小さく呟いたけれど、それはきちんと俺の鼓膜を震わせていた。











"俺、先輩のこと好きなんで、そこんとこよろしくっス"











後にその言葉の後に"わたしもだよ"と付け加えられていたのは、また別の話。




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リクエスト第五弾、またしても後輩ものです。

こんな勝気な後輩少ないでしょ・・・と一人でぶつぶつ言いながら書いてました。

委員会どうなったんだ、委員会!それでいいのか、委員長!!(ぇ

駄作の上に、すごく短くて申し訳ないです。

リクエスト:月サン http://...