生徒手帳を落として出会ったのは君。

でも、決して見られたくなかった生徒手帳。






17 「落ちたぞー」






3ヶ月ほど前の話。

「ねぇ、この写真もらっていい?」

が学園祭の時に撮っていたスナップの、カラーコピーが机の上にたくさん置かれたいた。

は写真を撮るのが好きらしくて、結構どの写真もいいアングルで撮られている。

いろんな人が写ってるし何でも好きなの持って行っていいよ、と言われて大量の写真を見ていた。

何枚か自分の写真はあったけれど、それよりも何よりもが楽しそうにカメラに向かってピースをしている写真が目に留まった。

正直、その笑顔にドキッとした。

かっこよかった。大好きなを思い出として残して置けるなんて。

「いいよいいよー!ちゃんとネガもあるし!」

私は手にとって、思わず微笑んでしまった。





「じゃーね、!」

そろそろ下校時間。あたしは委員会もあったせいで、帰るのが遅くなってしまった。

門も閉まってしまうので、廊下を走っていた時に、ふと後から声をかけられた。


「落ちたぞー」


はっ、として振り返ればそこにいたのは君。

手に持っているのは、あたしの生徒手帳。そして、その中にはの写真がある、はず。


「ごごご、ごめん!」


あたしは急いで彼の手から生徒手帳を受け取った。


「いいよ、別に。ってかさ、この写真なんで持ってんの?」


の左手に持っていたのは、あたしの生徒手帳…のなかに挟んでおいたはずの、さっきの写真。


「あ、えー、あー、えーっと…写真撮ってた友だちに…貰った……ごめん」


言い訳が思いつかなくて、なんて言えばいいか分からなくて。

でも、持ってた理由なんて絶対に言えなくて。

どうしようもなくて。


「俺、自惚れていいなら自惚れるけど、いいの?」


の言った言葉も理解できない、…え?


「俺のこと、好きってことでいいの?」


どうしよう、ここで言って振られたらなんなのよ。

こんなことでバレるなんて、本当に最悪だって…


「ん、好きなんだけど…ごめん!忘れて!」


苦笑いをしながら、手を振った。



「忘れる必要なんて、ないんだけど。俺、あんたのこと好きだし」