あたしのの嫌いなオトコ。



01 誰にでも声をかける軟派

02 外見がだらしない軟派

03 すぐ調子に乗る軟派



とにかくあたしは、軟派が大嫌いなのです。







05 「俺の事は秘密。」ちゃーん!!」

そう言って手を振りながら歩いてくる、私の嫌いなオトコ。

01〜03の条件がすべて兼ね備わった先輩。




うわ、来るな!と心の中で思いつつ、先輩だからどうしても言えない。

この先輩、案外の悪。

嫌いだから来ないで欲しいなどと言えば、後が怖い。



なぜだか私はこの先輩に目をつけられ、( 因縁つけられるとかじゃなくて )

毎日毎日こうやって教室に来る。 全ッ然嬉しくない!

あたしは普通に過ごしてきた。全然関わりもなかった。…なのに!!


この先輩のせいで私は学年の男子からビビられ、恋の兆しもない。

最高に悲しい。


名前は池島先輩と言うらしく(情報)キレさせると恐い。(これも情報)

(は情報通なのです☆)


あたしの好みの正反対のタイプ。

それがあたしに絡んでる…。これが毎日の悩みの種。

……頭が痛い。




「なんでしょう?」

「今日のお昼一緒に食べない?俺の友達も誘って!あーちゃんも誘って!」



なんでの名前知ってんの?っていうかと接点あったっけ?

いや、ないよ。勝手に言ってんの!?うわー超迷惑……

あーでも断ったら後々恐いしなー…





「お前、しつけぇんだよ」

なんとコレは神の声!……というか、この先輩にこんなことを言えるのは誰だ!

恐れ多いと思いながら振り向くと、そこには今まであったことのない先輩。



すごいかっこいい……



あたしは思わず見つめてしまった。

するとその先輩は微笑んであたしに謝った。


「ごめんね、こいつが迷惑かけて」


ほら、さっさと行くぞ、と言いながら先輩の首根っこをつかみずるずると引きずっていく。

あたしのときめきは止まらない。

こんな先輩に助けてもらったという喜びと、初めて見つけることが出来たという喜びが交差。

心臓の音は、ものすごくうるさい。



「あ、ありがとうございます!」



あたしは何て言っていいのか分からなかったけれど、何とか会話がしたくてお礼を言った。

ダラダラと汗が流れる。柄にもなく緊張する自分。


にこりと笑いながら手を振る謎の先輩。

あたしはどうしても、どうしても先輩の名前を知りたくて声をあげた。


「先輩!名前、教えてください!」


どこからこんな勇気が出てくるのかも分からなかったし、自分にとって初めての体験だった。

いつも消極的だった自分がこんなこと言えるなんて、本当に驚いた。





その謎の先輩は、軟派先輩を掴んだまま振り向いて

唇に人差し指を当て



「俺の事は秘密。」



と優しい声で、答えをくれた。

答えにはなってないけれど、あたしは逆にもっと知りたくなった。





一生懸命先輩を捜した。

案外、先輩は簡単に見つかった。


なぜなら……



とても有名だったから!!




こんな素敵な先輩を知らなかったなんて……何してたんだあたし!

これからまだまだ頑張らなくちゃいけないけれど、絶対諦めない!!




頑張れ、自分!