あたしは、一日中ブルーだった。

とにかくブルーだった。

今までで一番最悪の一日だった。



04 「うん、可愛い」




理由は超簡単。

学年一モテモテの麗ちゃんを、が可愛いって言ってたから。

そりゃさ、可愛いしさ、女子からの憧れの的だけどさ。

あんなにあっさりとは・・・ね。


好みがあるのは、普通だもん。

でもね、あんな可愛い子じゃ、あたし追いつけないよ…




「なぁ!!ぜってー麗ちゃん可愛いよな!!」


「うん、可愛い」



嫌でも思い出す一時間目の数学の授業。

授業内容なんかは何にも入ってなくて、ただその言葉がぐるぐると何回も聞こえる。

そのせいであたしは授業を理解できず、当てられても答えられず。

まぁ、その会話を聞いちゃったあたしが悪いんだけどさぁ。

聞こえちゃったんだもん!しょうがないでしょ……

馬鹿 め。




………誰でも、あーいう風に可愛いって、言っちゃうのかな………………







「どぅぉおあ、まだ居たの!?もう下校時間だよ?」





誰だよ!?人がのことで悩みふけってるっていうのに!!!




あれ、そういえば…この声………





「こそ何してんのさ。」



何で今来るんだよー・・・気まずいじゃん。

(気まずいのはあたしだけなんだけど)

どうせコイツの頭の中には、胸の中にはあたしの存在なんかないんだ。




「俺は忘れ物取りに。」





あたしはこの落ち込んだ顔を見られたくなかった。

きっと今あたしはひどい顔をしている。





「ふーん、頑張れ。」




にこんな顔を見られたくなかった。

早く帰って欲しかった。

一人にさせて欲しかった。




「じゃ。」




そういうものの、やっぱり寂しかった。



「うん、ばいばい。」


泣きそうな声であたしは応えた。

でも、絶対泣かないと決めた。


素直になれない自分が情けなくて、きゅっと目をつぶった。






あたしの手首に暖かい手が重なった。
















うっすら目を開けると、

あ、

の手が、あたしの腕、握ってる。







「忘れ物はだから。一緒に帰ろ。」





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「って麗ちゃんみたいなコがタイプなんだねー」

「は、麗ちゃんって誰?」

「前、可愛いって言ってなかった?」

「あー、誰か分かんなかったから、適当に言っただけ」



・・・



「えっっ!?」