あたしはどうしてこんなに鈍感なのだろう、と本当に思う。

言われて初めて気が付くことが多い。後から後から、発見することが多い。

本当に自分で馬鹿だな、と思う。なんというか、本当に情けない。




02 「好きだって言ってんだよ」





「お前さ、好きな奴とかいないわけ?」

そう切り出したのは、男友達のだった。


「いないんじゃない?」

「は?何ソレ、んでなぜ疑問系?」


最近どうもそういう恋愛感情に疎くなってしまった、というのが本音なのだと思う。

だから自分でそういう感情に、気付くことが出来ない。

友だちに自分の気持ちを相談して、それがやっと恋愛感情だということに気付くことが専らだ。

その上、とてつもなく臆病なのだ。いつだったか、もうそれすらも忘れてしまったが、一度告白してコテンパに振られたことがある。

それが致命傷というかトラウマになってしまった、というのもあるのだと思う。

それからというもの、私はもうそんなことどうでも良くなってしまったのだ。





「おまえ、男気ねぇのな」


カチンときた。むかむかムカムカとし、私のイラつきのボルテージが上がっていく。その速度は半端ではなかった。

私の怒りのボルテージはすぐに最高潮になり、私は思い切りそいつの頬を思い切りひっぱたいた。


「うるっさいな!あんたに関係ないっての!」


正直、やってしまったと思った。

いくら自分自身が気にしていて、それが悩みの種だったとしてもだ。ひっぱたくのはどうだろう。

おそるおそるそいつを見てみると、そいつは私が想像していた顔ではなかった。

正直私はが怒ると思っていたが、まさかの、は笑っていたのだ。


「お前、意外とすげぇのな」


ははははと、大笑いするを見て、私は少し気味悪くなった。

というかひっぱたいた瞬間に、脳みそがおかしくなってしまったのだろうかと心配した。


「何笑ってんの?普通引っ叩かれたら怒るんじゃないの?」


私は目を見開き、疑い深くの顔を見た。

それでも尚、は笑っていたのだ。


「…ごめん、引っ叩いといてなんだけど……気味悪いわ……。」


そこで初めて、は口を開いた。


「というか、お前に女気あったら困る。それ以上モテられたら、俺が困るわ。」


それ以上?

今先ほど、女気ないとか言ったのどこのどなたか覚えていますか?




「さっきから意味分からないんだけど。何?本気で怒らせたいの?」




腕組みをしながら(してないと手が出ちゃいそうで)怒りを抑える。

本当に、次に何か言われたら、手が出ちゃいそうだ。



「や、そういうわけじゃなくてさ。」

「じゃあ、なんなのよ」




「………好きだって言ってんだよ!」