あたしとはいわゆる「サボり仲間」 サボりなしなんか、あたしには考えられない なしのサボりなんか、考えられない あたしにはが必要不可欠だ 04 突っ走れ! 「次の時間屋上で」 「了解」 机の中に隠した携帯で、見つからないように静かに打つ。 黒板には、あたしの大嫌いな数学のことが書かれている。 どれもこれも、今のあたしにはつまらないもの。(今じゃなくてもつまらないけど!) 次はとサボるんだ、と思うと嬉しくて嬉しくて。あたしは早く終われ、と願ってみた。 「なにー?次とサボんの?」 「そー。先生に保健室行きましたって言っといて。」 「はいよー。お前、受験大丈夫なの?」 の戯言は聞かずに、すたすたと行く。 早く会いたいんだって、あたしは。に会いたいんだって。 はあたしと同学年の、違うクラスの幼馴染の奴。 昔から2人で何かしら悪いことして、一緒に怒られたり、一緒に泣いたり。 いつも一緒に過ごして、傍に居ることが当たり前。だから一緒にいないと不安で。 よくには「甘えんぼ」って言われるけれど、それはだからであって。普段はそんなに寂しがり屋ではない・・・と思う。 「ー、遅ぇよ」 10分遅刻だし、と言いつつ笑いながら言う。はかっこいい。 今更だけど、そう思う。結構告白されてるみたいだし、性格もいいと思う。話しやすいし、聞き上手でしゃべり上手。 整った顔立ちに、似合った髪形。男らしい肩幅、くっきり出た鎖骨。を見ていると、ぞくぞくする。 「ごめん、何か色々考えてて」 「珍しいじゃん、が考え事なんて」 「・・・あたしいつもそんなに馬鹿っぽい?」 「うん」 「失礼な!あたしだって色々考えてんだよ?」 「例えばー?」 空を仰ぎながら、軽く聞く。 心配していないわけじゃなく、これがの癖。 昔から何気にあたしの気持ちを察してくれて、心配しているときに、余計に不安にさせないためにする仕草。 馬鹿にされることもあるけれど、こういう時のはすごく優しい。 「はどっか行っちゃうのかなーって」 「はー?俺がどっか行くわけねえじゃん」 「じゃなくてさ。だっていつか、自分の家庭を持つ日が来るわけでしょ?」 「あーそういうこと。んーでも俺の隣はって決まってるから」 言葉を選んでくれてるんだなー、って新鮮にそう思う。 でも、の隣は今はあたしだとしても、いつかはの未来のお嫁さんに譲らなくちゃいけなくて。 分かっていることだからこそ、寂しくて。自分がずっと隣にいられないことも、知っているから。 こうやって言われても、やっぱり不安なんだよ。寂しいんだよ。 「じゃあさ、が俺の嫁になったらいいんじゃん」 「そんなんムリでしょー、」 は優しいから、こう言ってくれるだけなんだよ。 嬉しいけれど、素直に喜べなくて。 はモテるし、あたしのことは友達としか思ってないし、あたしもどの好きか分からないし。 ねえ。あたしおかしいのかな?どの好きか分からないくせに、傍に居たいなんて。 のこと好きな人に、失礼だよね?でもね、傍に居たいの。誰よりも傍に居たいの。 「いいじゃん。俺の嫁さんで。は不満なんだ?」 「・・・ばか」 あたしが断れないの知ってるくせに。 あたしがのこと好きなの知ってるくせに。 「こらー!お前ら何年何組やー!!」 グラウンドからいきなり叫ばれた。 「うわっ、やべ。体育の新川じゃん。逃げるぞ!」 「え?」 取られた手は暖かくて、思わず笑みがこぼれる。 と2人で、へらへら笑いながら逃げた。 どこまででも走ろう。君と一緒なら。 ずっとずっと、どこまでも。 突っ走れ!