もし、私の想いが目に写るとしたら、

それはきっと、計り知れないくらいの膨大な、莫大な量であって、

両手で抱え込むこともできないんだろうな、なんて

砂時計を手に持って、ふと、そう思ってしまった。



変わらないもの




学校に行くなり、に「お土産!」と何かの物体を渡された。

いきなりのことで私は少々驚きはしたものの、「ありがとう」といい、その包みを受け取った。


中に入っていたの綺麗な砂時計だった。

そして私は自分の席につき、さきほどもらった それ、を眺めていた。



一年というのは本当に長いようで短い。私にとって一年というのは、砂時計だ。

正月に、来年までに…と考える時はとてつもなくその時間は長いのに、実際は怒涛のごとく過ぎていく。

そして一年が終われば、また砂時計はひっくり返されるのだ。


「お前、砂時計片手に何考えふけってんだよ…」


と友達になって以来、何回この砂時計はひっくり返されたのだろうか。

出会って、もう三年。ということは、三回か…。

あたしは、あと何回砂時計をひっくり返すまで、の傍にいることが許される?

いや、そんなこと考える事態どうにかしている。私はの彼女でもなんでもない。ただの「友達」なのに。


でも、私は確かに「好き」なのだ。

けれどものあたしに対しての気持ちが分からないまま、こんなこと考える事態が馬鹿馬鹿しいのに。


「いや。別に。っていうかあんた本当に卒業できんの?卒業判定テスト、赤点あったんでしょ」

「だからあれだけ俺はお前に勉強教えてって言ってたんじゃんか……」

「あたしはちゃんと教えました!覚えない、あんたが悪い。」


語尾を弱くしてごにょごにょと、決まりが悪そうに話すを見られるのはあと何回?


「いいよな、は…赤点ないしさ。卒業確実で…」


ふふ、とだけすこし笑みを漏らし、私はまた手元の砂時計へ視線を移した。

本当は、離れるのが嫌でいやで、仕方がないのに。

可愛らしい返事が出来ないのが、悔しくて仕方がないのに。



いっそのこと、こんな時間なんかなければ砂時計をひっくり返すことの意も、ただの娯楽になり、

ただただ楽しんで過ごすことができるのに。

悩んでも仕方がないことを悩んでしまうあたしは、やはりどうにかしているのだろうか。


「…あと少しなんだね。」

「……何が?」

「…………なんでもない」



分かれ。馬鹿男。鈍感男。



「…砂時計ってさ、縦に置くから時間が分かんだろ?じゃあさ、横にして寝かせれば、ずっと変わらない。」

「…え?」

「どうせお前のことだから、過ぎてく時間がもったいないとか考えてたんだろ?」


少し…違うけれど、でも、なぜか、私の思っている複雑なことが、

には分かっているような気がして。




「心配すんなよ。環境が変わっても、誰も何も変わらないからさ。もちろん俺もな。」




はにかんだように笑いながら、頭をぽんぽんと叩かれた。

その少しの言葉で、あたしは本当に救われた。




変わらないこの想いを、両手に抱え込むことはできないけれど、

それがもし、二人ならば、余すことなく持てるのではないだろうか、と

恥ずかしくなるようなことを考えた。


(キザだねぇ…ってか自意識過剰じゃん!)
(なっ…!俺はお前を心配して………!!)