「、あんたって本当に好きな人とかいない訳?」 何を言っているのかが、さっぱり分からない。 私は男嫌いだ、と豪語している。 全く話したことのない学校の子でも、「あの男嫌いのさんでしょ」と言われるくらい、男嫌いなのだ。 別に何があったとか、そういうわけじゃあない。何故だかわからないが、嫌いなのだ。 生意気BOY 「はぁ!?んなのいるわけないじゃん!」 今更何を言っているのだろうかと、眉間に皺を寄せた。 何度も言うようだが、本当に何があったってわけじゃあない。男同士の話を聞いていたら幼稚だな、とか、馬鹿だな、とか、アホらしいとか。 んー…嫌いというか、呆れてるのかも知れない。いや、無関心?まぁそこらへんは分からないけれど、よく分からないから嫌いとしている。 「なんで男に対してそんなに関心ないのさ」 は結構男の子が好きだ。心移りが激しいとか、そういうんじゃない。 なんというか、とにかく美形が大好きなのだ。まあ、ミーハーってところかな。 そんなにもちゃんと好きな人がいる。というか、もう両思いなんだけどね。もう見てたら誰でも分かるくらい。 お互いに鈍いから全然気付いてない。 友達の恋心を話すのはよくないから、に「告白しなさいよ」と言ってみるけれど、双方自分の恋愛には臆病だ。 違う、違う。今はそういう話をしているんじゃない! 私はきっと男嫌いではないんだ。同学年の、または年下の男の子が苦手なのかもしれない。 バイト先では年上の先輩が話しやすいし、先生とも気が合うほうだと思う。 同世代の友だちには、「大人びてる」やら「お母さん」やら「姉貴」やら。かれこれ言われて云十年。 姉御肌で何かと女友だちは多いほうだとは思うけれども、そういえば同学年(年下)の男の子と仲良くなった覚えがない。 きっと私の雰囲気が恐い、もしくは無自覚で(や、自覚してる時も多々あるけど)睨みつけているとか。 煩いやつは大嫌い、ルールを守らない奴は大嫌い、そういうきっぱりとした性格がいけないんだとも思う。 「じゃあさ、先輩とかどうなの?」 先輩と言ったって、私は部活に入っているわけではないから、年上と知り合う機会もない。 というか、すれ違ってもどれが年上でどれが同学年かも分からないくらいに男への関心はなくなっている。 「。あのね、本当にそれやばいよ。華の女子高生としてどうなのよ…」 確かに私もそう思う。だけどね、いないのよ。私のハートをガツンと打ってくれる人が! 彼氏なんかは、欲しいと思って作るもんでもないし。いつでもいいんじゃないの、好きな人ができた時で。 「あ、そういえばさ。!隣のクラスのって知ってる?」 ー?誰、ソレ。そんな人聞いたことないし。 「はあたしが知ってると思ってるの?」 「ううん、一応聞いてみただけ」 なら聞くな!と思ったあたしはをほって教室を出て、スタスタと歩き出した。はそれにチョコチョコとついてくる。 別に興味ないんだよね…なんというか、まだそういうのいらないっていうか、やっぱりあんま興味ない。 第一さ、彼氏とか彼女とか作って自分のブログに写真載せて惚気書いて。 何が楽しくて、何が嬉しいのかも理解ができない。つーか、何の意味があるの、っていうくらい。 「ねー?学校一モテる男だよ?」 「だったらそれが何なのよって!」 「だからー、のこと好きなんだってば!」 頭の中で何かがガタガタと崩れたような気がした。 そんなこと初めて聞いた。というか、私はそういう恋愛関係には全く関係ないと思っていた。 「はは!ありえないって!あたしのこと好きな人がいる!?そんな変人いるなら見てみたいものだね。」 私がはっはっはーと豪快に笑っているにも関わらず、何故だかの顔が引きつっているような気がする。 どうしたの、と表情で訴えても何も反応がない。おーい、と読んでみても、の視線は私の後ろ。 誰だ!と思って振り向けば、「あ、結構かっこいいかも」なんて…じゃない! それはそれはもう私がまったく興味のない、男。ん…でもかっこいいかもしれない。 「俺。っての。俺のこと知んないんだね。一応自己紹介しとくよ。俺、」 「あ、どもよろしく…」 なんて差し出された手に、差し出し返すなんて私は何をしてるんだ! っていうか、何でとかいう人がここにいるっていうことをまず初めに疑おうよ!私!! 「つーか、つーか!嘘だよね!?」 「いや?ホントだけど。」 再びガラガラと崩れる音が、頭の中で…した。 もう、なんか、疲れた。意味が、分からない。 「あ、そうそう。」 再び口を開いたという謎の人物。 私はその言葉に愕然とするなんて、全く予想がつかなかった。 「俺、あんた落としてみせるから」