月は、太陽の光を受けて光る。 あたしは、の声を聞いて涙を流す。 そして私の涙は、月明かりに薄く反射する。 月夜*後編 ただ、どうしようもなくなった。 その優しさに溢れる声によって、あたしの感情は一気に溢れ出した。 月夜にはただ何も考えずに、ただずっと眺めるのが唯一の安らぎだった。 だけど、その安らぎの中にさえ、は入ってきて、 あたしは無性につらくなる。 一体何であたしはここまで弱いんだろう。 きちんと正面を向いて自分の心に向き合えず、その心を押さえつけて。 頭の中では言いたいことが次々と、駆け巡るのに、 それを言葉に紡ぎだすことは簡単にいかなくて。 ああ、恋愛って難しい。 それをに言ってしまえば、きっと 「馬鹿じゃないの」という答えが返ってくるだろう。 にとっての恋愛とは感情、つまり心で動くものであって、 決して頭では考えてはいけないそうだ。 頭で考えること、それはつまり、 結局は相手を騙しているということと同じになるらしい。 頭でする恋愛と、心でする恋愛は全くの別物だと、 熱烈に弁解されたことを覚えている。 頭で考える恋愛は本心でもなんでもないと。 「さて、に何て言って弁解をしようか」 さっきはいきなり電話を切ったから、絶対に変に思ってるだろうし… 涙が溢れてきて切らざるを負えなくなったとか? そんなこと言えるわけないじゃない のこと考えてたら、自分の気持ちが溢れてきたとか? 好きって言ってるのと全く同じじゃない あたしが泣く理由はいつもなんだとか? そんなこと言ってどうなるのよ にかける言葉が見つからないよ。 とりあえず、メールにするか…… もう夜中だけど、は夜中にメールしても起きないから。 今、送っても大丈夫かな。 あたしも夜中に送られてきて、起こされたことあったしね。 ------------------------------ Ti 9/23 2:16 To sb (non title) ------------------------------ さっき、いきなりブチってごめん ------------------------------ やっぱり変に思ってるよね。あたし、やっぱり馬鹿だ。 ただ、のことを思うと、無性に悲しくなっていく。 この気持ちが、この想いがつらくてつらくて。ただ、逃げるしかなくて。 どうしていいのかも分からないで。ただ、我慢して。一人で隠れ泣いて。 相談する相手はお月様。 人間相手に、この胸の苦しさをなんと表現すればいいのだろうか。 そして、あたしがのために設定した、の大好きな曲が流れる。 まだ、寝てなかったんだ。 いつも眠たそうにしてるくせに。早く寝たらいいのに。 ------------------------------ Ti 9/23 2:19 Fr sb (non title) ------------------------------ 気にしてないから、も気にすんな! ------------------------------ この優しさが、すごく好き。 泣き出したことを知ってるから、その理由を聞かない。 そのことに関して、もう何も言わない。 なんとなく瞬時に理解して、判断する心遣い。 その優しさが、すごく好き。 ねぇ、お月様。 今なら私、素直に気持ち言えるかな。 ちゃんと伝えられるかな。 ------------------------------ Ti 9/23 2:25 To sb (non title) ------------------------------ あたし、のこと好きだよ ------------------------------ ああ、画面が涙でかすんでほとんど見えなくなってる。 どうしても、伝えらずにはいられなかったよ。 どうしても、今、に伝えたかったよ。 どうしても、もうこの胸の中にはしまっておけなかったよ。 ------------------------------ Ti 9/23 2:29 Fr sb (non title) ------------------------------ 知ってる。 ずっとのこと見てたから。 ------------------------------ ”ずっと見てた” その言葉は、この月光と同じく、あたしの胸に飛び込んできた。 まるであなたは、この暗闇を照らす、お月様みたい。 *END |