席替えで隣の席になった男の子は、前々から少し気になっていただった。

あれから三週間。あたしは未だに、まともな会話を出来ずにいる。








瞳にが滲んでも、











あたしが話し出せないのは、きっとの持つ独特の雰囲気と、あたしの臆病さのせいなのだと思う。

きっと話しかければ、普通に話せるのだろうと思うけれど。前に他の女子と話してるのも見たし、ね。


はあまり人と関わりを持たないみたいで、クラスでは結構寝ていることが多い。

それでもやはりこの顔だからか。クラスの女子や同じ部活の人たちは、話しかけている。


「そっけないけど、それがクールでいいんだよ」


と、前にクラスの女子が話していたような気がする。当の本人は、全く興味がないのだが。

あたしはと委員会が一緒になって(は寝てたから、勝手に入れられてた)意外な一面を見たりもした。

口では結構きついことを言っていても、さりげなくあたしのことを手伝ってくれて。

仕事はせずに寝てるし、って嫌な部分が目立っていたけれど、あたしは少しずつ惹かれ始めた。



・・・それなのに何にも進歩がないってどうよ、これ



運良くくじ引きで競争率の高い、の隣というすばらしい席も手に入れた。(同時に周りの女子の痛い視線も手に入れた)

なのに。全然会話できないなんて。あたしは何をしているんだろう。これじゃ、せっかく味方してくれた運も台無しじゃない。

横を見れば、あたしのこんな苦労も知らずにスヤスヤと寝ている。

はぁ、とあたしは溜息を一つ漏らした。







「おーい!ー!」

物凄く大きな声が聞こえたと思えば、ガラリと開けられたこの教室の扉。

その人物の登場にキャーキャー騒ぐ女子。この人、確か・・・


「うわー何寝てやがる!起きろ!」


あたしがじっと見ているからか、その人はを起こす手を止め、あたしに話しかけてきた。

人付き合いが良さそうな、1つ上の先輩。と仲の良い先輩だったと思う。


「おお、わりぃな。騒いじまって。ああ!もしかして!?」

「そ、そうですけど・・・」

「ははーん、なるほどね。コイツがいっつも・・・」

「ちょ、先輩!何余計なこと言ってんのさ!?」



会話を遮りながら起きた。

・・・がいっつもどうしたのさ!?気になるじゃんか!

隣の奴がうるさいとか?委員会押し付けたいのに、変に真面目すぎるからやり辛いとか?

だめだ、悪いほうにばっか考えちゃうし・・・。このマイナス思考をどうにかしなくちゃいけないんだけど、どうにもなんないや。



「、ほんと何もないから気にしないで。で、何の用?先輩」

「あ、えーっとな、今日の部活なしだそうだ」

「は、何で?」

「顧問がいないんだとよ。やってらんねーよなー」




話し、勝手に進めすぎだと思うんですが。

いや、もともとあたしは関係ないけど、名前呼ばれた時点で何かしらあると思うのが人間の心理でしょう?

ああでも、本当には部活が好きなんだなー・・・。そういえばレギュラーだったっけ。




「で、俺彼女と帰るから、オマエ今日一人で帰れ」

「は!?何で俺が歩かなくちゃいけないわけ?チャリ乗っけてくんないんだ?」

「オマエなー・・・一応後輩だろ?」

「仕方ないっスね。ジュース1本おごりで手を打つよ」

「ああもう分かったから。で、ってことでちゃんこいつに送ってもらえよ」




どうしてそこであたしに話しを振るんですか、先輩(と呼ばれている人)しかも名前ですか。

そりゃ帰る方向は同じだけど。あたしはと帰る約束してるし。・・・の彼氏は先輩だ!

ってことで、残り物のあたしたちが一緒に帰れということか。うん、何か納得(だめじゃん)



「いえ、いいです。1人で帰れますから」

「は悪くないからいいよ。先輩、俺ら次移動教室なんで」

「おう、わりぃな!じゃ!」



周りの人の視線が痛いんですが。

と呼ばれ(しかも呼び捨てで)なぜか一緒に帰ることになって。

驚かないわけないでしょ!あのだよ?クールなコイツが、女の子を家まで送るんだよ?

誰かに告白されても「興味ないから」と一刀両断で切り捨てるがだよ?何かの間違いだとしか、思えない。




「なりゆきでこーいうことになっちゃったけど、俺のこと好きだから」

「え、ちょっと待って困るよ!冗談は・・・」

「冗談なんかじゃないんだけど。は俺のこと、嫌い?」

「・・・・・・・・・嫌いじゃないよ」

「じゃあ好き?」

「・・・・・・・・・・・・好き」

「だったらいいじゃん」




どうすることもできないと思ってた。何にも行動できなかった。

だけど、思う気持ちは強かったから。それが伝わったのかも、ね。






たとえ瞳に涙が滲んでも、




 君が全部拭い取ってくれるから








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お誕生日おめでとう、西葉ちゃん。

「隣の席の男の子」というリクエストだったけど、結局関係のないお話になっちゃいました。

希望に添えなくてごめんね。また機会があれば書き直します。

Happy Birthday.I'm glad to meet you.

So,if you are tired,I'm beside of you. 

This is birthday present for you.

Come on,SEIHA.You're not weak.