壊れるくらい 強く抱きしめて欲しかった


もうあの腕の温かさを 感じることは


できないけれど






もう一度だけ






「好き」 というたった2文字の言葉さえ ほとんど言えなかったあたしに

「行かないで」 なんて言えるわけがなかったの

本当は行って欲しくなかったよ、。今でも忘れられない、よ



友達と騒ぎながら、サッカーボールを巧みに操る君。

あの無邪気な笑顔は、あたしに向けられていたのに。どうしてあたしは彼の手を、離してしまったのだろう。

あれだけ行かないで、と願った人物を。あれだけ大切にしていた、大好きな人を。



「が何を考えているか分からない」

そう言われ、あたしはを止めることができなかった。

もともと引っ込み思案なあたしは、自分の思っていることを表に出すのが苦手で

男友達なんかほとんどいなかったのに、は告白をしてきてくれた。

あたしものことが好きだったから、もちろん付き合うことになった。

でもいざ付き合ってみると、それは考えていたよりも大変で。それでも"見えない何か"でつながってるようで。

あたしは嬉しかった。


でもやっぱり言葉にするのが苦手で、あたしは自分の口からに「好き」と言ったことがなかった。

は極度の寂しがりやで、すぐ不安になって。でもあたしのことは分かってくれる、って思ってた。

そうやってに甘えて、甘えて。ずっとを辛い思いにしてたのは、他でもないあたし。

だから「別れよう」と言われたときには、ただ泣いて君を困らせることしかできなかったんだよ。








今ではもう全然話せなくて、目も合わせてくれなくて、




もう一度だけでいいから 抱きしめて